こんにちは、おかてんです。
竹内健氏の著書「10年後生き残る理系の条件」を読んでみました。
あなたは10年前、東芝・シャープ・ソニーなどの大企業が今のような苦境に陥ると予想できたでしょうか?
おそらく予想できた人はほとんどいないでしょう。
これらの大企業でも苦戦を強いる世の中となってしまった今、多くの人が自分の会社がいつ・どうなるのか?不安を抱えていると思います。
この本では著者の経験から、今後もどうなるかわからない世の中で理系が生きていくために必要なスキル・マインドについて書かれています。
10年後も社会で活躍し、安定した生活を送りたい方は必見です!
目次
企業の中で頑張るほど、世の中が見えにくくなる
エンジニアにとって、会社、特に大企業にいて一つの専門分野の技術部門だけに閉じこもっていると、世の中の動きが見えにくくなりがちです。
昔の時代では企業がエンジニアに求めていたものは自分の専門分野はとりあえず社内で一番詳しくなり、生き字引のようになることでしたが、今の時代ではそれは危険です。
あなたが今携わっている事業は20年後も続いているでしょうか?
おそらくほとんどの人がそうは思わないでしょう。
自分の専門分野に固執し過ぎると、急な事業転換が当たり前のこの時代では、すぐに必要な技術が入れ替わり、今までやってきたことが使い物にならなくなります。
では、どうするべきか?
新しい分野を自分自身で学び開拓することです。
社内での違う分野の部署との交流を深めたり、興味のある勉強会に参加したり、最近ではITエンジニアが必要とされているのでプログラミングを学ぶとか色々方法はあります。
現在の仕事はもちろんこなしつつ、社会の変化をうまく汲み取り、産業の変化スピードについていくことが必要です。
天才エンジニアではなかった私がしたこと
一つの分野を極めるのではなく、複数の分野をカバーしたり、分野と分野の境界を狙った法がよいのではないか?天才的なエンジニアをは思えない自分にはそこに勝機がある、と思いました。
この文章を読んでいて、めちゃくちゃ共感しましたね。
僕も大学院から今の会社でも数年間研究開発に携わっています。
そんな中で、仕事をやるからには
「一番を目指したい!」
「周りの人達に負けたくない!」
と思っていました。
ただ、大学院や企業で開発していくにつれて、専門分野のみで勝負すると、どうしても周りには敵わないなと感じることが多々有ります。
どんなけ頑張って理解しようとしてもわからないことがあったり、それを瞬時に理解できる人が多くいたりと努力でカバーできる範囲を超えてきています。
さらに昔と違い技術も飽和しつつある中で、研究開発のトップになろうとするのは狭き門なんですね。
そんな時は自分には別の生き方もあるんだと割り切ることが重要です。
どう割り切るか?と言うと
これからはその技術を使ってどういうサービスや商品が考えられるか?
他の分野と組み合わせることで何ができるか?
のように世の中の新たな価値をどう生み出すのか?を多視点から考えることが現代のエンジニアには必要になったのです。
文系力を身につけよう
日本企業では技術を深く理解した上で、より広い視野で事業を俯瞰できる人が決定的に不足しています。変化の激しい時代には、企業にとってもエンジニアにとっても新たに必要なのは、このような文系力です。
理系の人達、特に研究者は
「とりあえず新しい技術を作ろう」
「既存技術を少しでも改善しよう」
というような技術を作ることが目的になっていることが多いです。
しかし、企業に属している限りは、商品・サービスを世の中に売り出し、利益を生み出すことが目的です。
そのため、単に新しい技術を作るのではなく、どのように世の中で使われていくか?を考える必要があります。
そこで必要なのが文系力です。
「俺たちは技術を作るだけで精一杯なんだ!それをどうやって利益にするのか考えるのが企画・経営に人達だろう!」
と思っているあなた、今後生き残れませんよ?
技術は飽和しつつあります。
技術はコモディティ化していきます。
そこで必要になってくるのが
- 開発した製品を利用したサービスを開拓する
- 開発した製品を広めるために対外的にアピールする
- 市場を切り開くために自社でできないことは異分野・異業種と協力する
などの一般的に言う「文系の仕事」です。
日本企業も30代、40代になるとマネジメント職にシフトするので、このような仕事が多くなり、経営学などを学ぶ機会がありますが、それでは遅いです。
理系の人でも若いうちに経営について学ぶことでどのように開発を進めていくか、市場では何が必要とされているかを把握することで自分の業務に活かすことができます。
若手社員でもどんどん経営のノウハウを学んだ方がこれからの世の中では重宝されていきますね。
とことんユーザーの立場に立って考えること
人がどのような新しい経験に価値を感じるかを理解するには、サービスを実現する手段である専門的な技術の知識と、いわゆるリベラルアーツ、社会科学や人文科学の知識を総動員することが必要になります。
これからは新しい価値を見つけられるエンジニアが必要とされています。
スティーブジョブズが大学を中退して、カリグラフィー(美しいアルファベットを書くための技術)を学んだ経験が美しいフォントを表示できるMacの開発につながったのは有名な話です。
僕も学生のうちに色々手を出しておけばよかったなぁと後悔しています。
学生の頃から自分の専門分野以外は全く興味がありませんでした。
高校までの受験勉強は受験に必要な科目のみを勉強し、副教科などは最低限のことしかやっていませんでした。
大学では専門教科以外の一般教養なども片手間で終わらしていました。
学生の方、特に理系学生は自分の専門分野以外の授業を受けてみたり、ユーザー目線で色々な体験をしておくべきです。
ユーザー視点に立つことで日々の社会の変化に敏感になり、自分が利用したり目にしたりする商品・サービスについて深く考えられる習慣がつき、新たな価値を見つけることができるかもしれません。
エンジニアに大切な情報取捨選択法
ITの発達でこれだけ膨大な情報へのアクセスができるようになって、人は賢くなったのでしょうか。正直なところよくわかりません。なぜなら、同じ情報に接しても、それを「白」と判断するか、「黒」と判断するかは人間だからです。それを間違ったら何にもなりません。
情報をたくさん収集したからといって賢くなるわけではありません。
そんなもの今の時代では誰にでも調べられるので、知識を記憶しておくのは重要されていません。
大事なのはその情報から何がわかるのか?ということです。
「知識量・データ量を使って答えを出す」というタスクに関してはもはや人工知能には勝てません。
人間には人工知能にはできない情報の向こう側の意味を読み取る力、読解力が必要になってきます。
人工知能が読解力の壁を越えられず、東大合格を諦めたのは最近の話です。
人工知能「東ロボくん」 “東大諦める”
これからは情報をどう扱うか?読み取るか?ということが必要とされています。
最後に
現代のエンジニアは自分の専門分野一本で食べていける時代は終わりました。
これからはいかに多角的に世の中を俯瞰し、何が必要とされているのかを考えることが必須です。
10年後も生き残りたければ是非読んで実践しましょう!
- 専門分野に固執せず、新しい分野を開拓する
- 技術を道具として新たな価値を生み出す
- 文系力を身につける
- いつでもユーザー目線で物事を考える
- 情報の裏側を読み解く読解力を鍛える